現在位置は
です

本文です

VOICE magabon interview

No.208 山口一郎/サカナクション(ロックバンド)

僕らみたいなロックバンドの音楽は
どんな人間がどの時代に生きてどんなことを歌ったのかが重要な気がするんです

人気ロックバンド、サカナクションが5枚目のアルバム「DocumentaLy」を完成させた。彼らならではの挑戦意欲が詰まった本作は、度重なる試行錯誤を繰り返しただけあって、過去作を凌駕する一枚に仕上がっている。これまでの彼らに見られた音楽的野心はもちろんのこと、今回はロックバンドとしての生々しい側面も多分に伝わってくる。初回限定盤に付属のDVDには、アルバム曲の制作過程に密着したドキュメンタリー映像を収録。バンドの素の部分が加工なしでリアルに切り取られ、作品と真摯に向き合う彼らの姿が垣間見られるのも注目だ。そこで、ボーカル&ギターの山口一郎に単独インタビューを敢行!

山口一郎/サカナクション

――このアルバムで表現したかったことは何ですか?
「僕らは日々普通に過ごしている中で、リアルが感じられなくなっている気がするんです。特に音楽は手で触れられないし、目に見えないじゃないですか。だけど、一歩外に出たら自然に流れていて、部屋に籠っていても簡単に自分の好きな曲が手に入れられる時代ですよね。なんかそのせいで、実際に人間が作っているという当たり前なリアルが、音楽から薄れているところがある。確かにエンタテインメントと呼ばれるジャンルの音楽って、裏側を隠して表面的な部分をいかに洗練させて広めるかっていう部分で戦略を取る音楽だと思うんですけど、僕らみたいなロックバンドの音楽は、どんな人間がどの時代に生きてどんなことを歌ったのかが重要な気がするんです。そういうものを提示したかった」

――初回限定盤DVDに収録されている「エンドレス」の制作過程に密着したドキュメンタリー映像からは、いろいろと伝わるものがありました。
「『エンドレス』の聴き方って、映像を見た後ではきっと聴こえ方が変わると思うんですよ。とにかく、僕らサカナクションの今を全部見せてしまおうっていうことです。他に気を付けたのは、2011年にアルバムを出すことの責任。あとになって自分たちが過去を振り返った時に、この1年がどういうものだったのかをちゃんと見返せる作品にしたいなと。そうすることで聴いてくれる人たちも何か感じてもらえるんじゃないかと考えました」

――それで「DocumentaLy」というタイトルなんですね。「L」の部分にはどういう意味があるんですか?
「ドキュメンタリーだと本当はスペルが『R』なんですけど、それを『L』に変えることで『mental』という言葉が浮き出るようにしたんです。1曲目に入っているインスト曲『RL』は右・左のRLに掛けたり、『REAL』の意味合いを持たせたりもしています」

――サカナクションはPVやジャケットも興味を惹くものが多いですが、アイデアはメンバーが細かくリクエストをされているんですか?
「まず、チーム・サカナクションという形で関わってくれているスタッフとコンセプトの話し合いをして作っていきます。年齢はけっこう上の方がほとんどで、普通そういう人たちって意外とカタかったりするじゃないですか。プロモーションビデオなら顔をもっと見せたいとか、メンバー全員のカットを入れたいとか言いがちだと思うんですけど、全然そんなことはなくて、子供っぽい無邪気な大人たちっていうか(笑)。最近はPVに関してはもう任せています。出てきたものに対して自分たちの意見を言うスタンスに変えていますね。『ルーキー』は僕が背中から落ちたいイメージを伝えただけだったし、『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』に関しては監督さんが持ってきた最初の絵コンテで決まりでした。その段階では構成もまったくなく、人形を使ってやりたいっていうアイデアだけ。それに全員が手を叩いて笑ったところから始まったんです。撮影は大変でしたが、そういった苦労は努力でクリアできることなんですよ。ただ、アイデアは努力じゃどうにもならない。それを優先するのが僕らのチームなんですよね」



VOICE バックナンバー

現在位置は
です