現在位置は
です

本文です

VOICE magabon interview

No.208 山口一郎/サカナクション(ロックバンド)

山口一郎/サカナクション

――クリエイティブな考え方ですね。サカナクションは音楽シーンに対する挑戦意欲も旺盛だと感じます。
「ミュージシャンだからって美化されるのが、僕はすごく嫌なんです。僕らは芸能人じゃなくてミュージシャンで、音楽好きな兄ちゃん姉ちゃんが集まってバンドをやっている。音楽シーンを良くしたいって思うし、その中でごはんを食べたいっていう感じで、好きなことを仕事にできただけなんですよ。職場環境を良くしたいのはどんな仕事でもあることじゃないですか。自分の働いている業界をより良くしたいんです。ましてや僕らは商品開発担当だから、なおさらそこに対して積極的にアプローチしていく必要があるのかなって」

――制作作業はものすごく神経をすり減らしてやっていますよね。「エンドレス」の歌詞も相当悩まれていたそうですね。
「あの曲は震災以降に僕らの中で溜めてきたあれこれが詰まっているんです。その間にあったいろんな経験や出来事が全部『エンドレス』に集約されちゃって、なんか背負い過ぎてしまったんですよね。だから、楽曲にする、歌詞を書き上げるのはすごく難しかったですね。歌を作る時によくあることなんですが、はじめに歌った時にハマっていない言葉だとしても、繰り返し歌うことで慣れて美しく感じてくることってあるんですよ。それはそれでいいんですけど、『エンドレス』に関してはどうしても嫌だった。最初に出てきた言葉のインパクトや美しさがビタッとくるものだけをチョイスしたかったんです」

――ライターや評論家がレビューなどの原稿を書く感覚と近いですか?
「うん、同じだと思いますよ。僕もレビューを書く機会をいただいてやっていますが、本当に同じ感覚。ゴールはないものだから。自分を自分で採点するじゃないけど、大事な部分を掴むまで突き詰めたいですよね。プライドかな」

―― 一郎さんは言葉が本当に好きで、言葉のニュアンスをとても大切にされているんですね。
「僕は音楽を始めるきっかけが文学で、美しい言葉をたくさんの人に覚えてもらうには歌だって思ったんです。それで音楽を始めた人間なので、歌詞は僕の中では人一倍重要なんですよ」

――10月から始まる全国ツアー“SAKANAQUARIUM 2011 DocumentaLy”はどんなツアーにしたいですか?
「ツアーも僕らにとってドキュメンタリーの一部なので、それをテーマとして掲げていきたいのと、観てくれた人のドキュメントにもなるといいなって思います。ただのライブじゃなくて、親密さを追求したいです。ロックのフォーマットは必ず崩したい。ロックバンドのライブを観に来たのに、いつの間にかそんな感じじゃなくなっていた…みたいな。カルチャーショックを受けてもらえるくらいのことがやりたいですね」

――もしも雑誌の編集長になれるとしたら、どんな雑誌を作ってみたいですか?
「僕、一つのメディアだけで落ち着いているのがすごく嫌なんですよ。ラジオとかもそうなんですけど、こんなに世の中にたくさんツールがあって、敢えて雑誌だけを選ぶのって、よほどのパンチ力がないと無理だなって思っているんです。だから、サブカルチャー全般でいろんなツールを繋ぐ雑誌が作れたらいいですね。たとえば、ラジオでの内容をUSTREAMでも放送して、そこでの対談を雑誌・書籍化するとか、すべてが連動するもの。ある一つの時間をそれぞれのメディアで扱うことによって、感じ方がどう違うのかを楽しみたいです」

Text : Yuji Tayama

DocumentaLy

DocumentaLy
2011年9月28日(水)発売
初回限定盤A(CD+DVD)¥3,500/
初回限定盤B(CD)¥3,000/
通常盤(CD)¥2,800



VOICE バックナンバー

現在位置は
です