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VOICE magabon interview

No.230 園子温(映画監督)

希望に負けたというか、もう希望を持たざるを得ない、
絶望していられないっていう意識があった

冷たい熱帯魚」(11)「恋の罪」(11)など、人間の闇と業をえぐり出すかのような衝撃作を次々と生み出している鬼才・園子温監督。最新作「ヒミズ」では、自身初となる原作モノにチャンレジしている。原作「ヒミズ」は、「行け!稲中卓球部」の古谷実がギャグ路線を一切封印して描いた人気コミック。15歳の少年少女が“ある事件”をきっかけに運命を狂わされていく姿を描く。
映画撮影の準備段階で東日本大震災が起き、監督は被災地での撮影を決意。脚本も大幅に変更した。ぶつかり合いながら、この世界を生き抜く力を模索する二人の姿は、ヒリヒリする緊張感と愛、そして希望に満ちあふれ、園流のエールとも思える青春映画に仕上がった。また、監督の熱い指導の下、メインキャストの少年少女を演じた染谷将太と二階堂ふみがヴェネチア国際映画祭で日本人初となる最優秀新人俳優賞を受賞したことでも話題。そこで園子温監督に単独インタビュー! 映画に込めた想いから、次にチャレンジしてみたい原作モノまでをたっぷりと語ってもらった。

園子温

――今回、監督にとって初めての原作への挑戦となりました。その経緯を教えてください。
「これまでオリジナルでやってきましたが、ずっとオリジナルでやっていきたいと思っていたわけではなく、どこかで原作のあるものをやりたいと思っていたんです。1年くらい、プロデューサーがいろいろな小説や漫画を持ってきて作品選びをして。でも全然決まらなくて。じゃあ、僕から持って行こうかなって思って、そこで選んだのが『ヒミズ』です」

――「ヒミズ」を選んだ理由を教えてください。
「“処女の男選び”みたいなもので(笑)、何人目かになっちゃたら、いろいろな原作があるだろうけど、最初の男というか、最初の原作モノには『ヒミズ』がいいなと思った。原点になりうる、自分に一番近しい存在なものがいいんじゃないかと。『自転車吐息』みたいな、僕が昔作った青春映画と近いものを持っているから。『ヒミズ』は現実感のある漫画。日本の漫画はほとんど実写化するとコスプレものみたいになりたがるけど、これならコスプレものにならないで済む。等身大の青春映画を描きたかったんです」

――撮影準備期間に東日本大震災が起こり、脚本にも大幅な変更が加わりました。その心境を教えてください。
「原作は“2001年のリアルな若者”を描いたもの。それを2011年に撮るとなった時に、2001年をそのまま描いたんじゃ原作のスピリットとして違うんじゃないかと思ったんです。“2011年のリアルな若者”を描くのなら、3.11は欠かせないし、無視できない。それを社会的メッセージとして描きたかったわけではなく、今の日本の環境として自然に入れたかったんです」

――2001年と2011年の若者の違いを監督はどう感じますか?
「2001年は、永遠に続く日常に耐えられないという雰囲気があった。今は、非日常が永遠に続く世界になった。例えば原作では、不幸になる人間は選ばれた人間だというけれど、今では誰でもが不幸になれる。それはネガとポジくらい違う真逆の世界。映画では、ラストでも絶望的なことが希望になってゆく。真逆の『ヒミズ』なんだけど、でもすごく原作に忠実なものになったんじゃないかな」



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