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VOICE magabon interview

No.238 渡辺謙(俳優)

夢を叶えるためにリスクを乗り越えるんだというプロセスがあれば、
リスクってのはただ単にハードルなだけなんです

小惑星探査機はやぶさの偉業を映画化した「はやぶさ 遥かなる帰還」で、渡辺謙は主演俳優の他、“プロジェクトマネージャー”としてクレジットされている。これは、彼が演じた山口駿一郎のモデルとなった、はやぶさプロジェクトのリーダー、川口淳一郎教授と同じ役職名だ。渡辺は、本企画の脚本段階から関わり、役柄とシンクロしながら、プロジェクトマネージャーとして、この映画を牽引していった。だからこそ、彼の口から語られる撮影秘話には、熱いものがみなぎっている。
山根一眞の「はやぶさの大冒険」をモチーフにした本作。はやぶさはいろんな困難を乗り越え、小惑星イトカワから無事に岩石サンプルを持ち帰るという世界初のミッションを敢行した。このサクセスストーリーが、日本だけではなく世界中を歓喜に包んだことは記憶に新しい。 本作では、長年このプロジェクトに尽力してきた第一線の研究者たちをはじめ、一部で関わった小さな町工場の職人や、その足跡を見てきた新聞記者などの目線も入れた、人間味溢れる重厚なドラマが繰り広げられる。
そこで渡辺謙にインタビューし、本作に込めた想いや撮影秘話などを聞いた。彼の口から語られたのは、本作が歩んだ足跡だけではなく、彼の俳優としての足跡と今の立ち位置である。

渡辺謙

――映画では珍しい“プロジェクトマネージャー”とクレジットされていますが、そのいきさつから聞かせてください。
「役職名という部分からいくと、半分シャレみたいな感じです(笑)。最初に『エグゼクティブプロデューサーみたいな形でどうでしょうか?』という話をいただいた時、もともと脚本作りの段階から関わっていた作品だったので、『全然、構いませんよ』って感じでお引き受けしました。でも、撮影が進むにつれて、この映画の使命として、川口先生はじめJAXAの方々が、このプロジェクトそのものだけではなく、どういうことを未来に投げかけられるかってことをきっちり示そうということになったんです。もちろん、既に世の中に示されていた気はしたんですが、彼らはこれからもはやぶさのプロジェクトを継続してやられていくわけだから、それのある種、再出港として、もう一段深く広くお伝えできるツールとして、僕らはこの映画を提示できるんじゃないかという気がしました。そのことを含め、JAXAの出向社員じゃないんですが、川口さんのプロジェクトマネージャーと、この映画を通してのプロジェクトマネージャーというのが、最終的に上手くにじんでいくような形にしたいと思ったんです」

――現場への取り組み方もプロジェクトマネージャーであることを意識されましたか?
「そうですね。ある意味、『硫黄島からの手紙』の時に、僕のトレーラーが参謀本部みたいになったのと似ているんです。演じた役の役割と同化してしまう。『硫黄島~』の時と違って命懸けの話ではないんですが、非常に限られた時間の中で全員が全力を出し切れるかどうかってことはとても大事なことだったと思います。だから全キャストの精神的なメンテナンスも含めて考えていきました。管制室や運用室の中だけではなく、映画そのものがもっと膨らんでいけるような流れを作っていこうとしました」

――マネージャーとしてのリーダーシップも求められたということですか?
「その辺はボーダーがなかったです。俳優を代表してってことではなく、プロデューサーとして現場にいるってことでもなくて。山口駿一郎って男がそこで何をしているのか、今どこにいるのかみたいなところからスタートしました。モデルとなった川口先生が映画を試写でごらんになった時、僕はたまたま伺えなかったんですが、後から映画の感想を送っていただいたんです。最初の数行は『非常に素晴らしい映画で、このプロジェクトが持っている本質や重さがちゃんと描かれている』と、喜んでいただいた内容でした。でも、その後に続く3ページぐらいの膨大なメールには、この映画をどうプロモーションしていくかってことが書かれていて。川口先生も、この映画に関して同じ想いで参加してくださったことが分かりました。変な言い方だけど、僕らが寄っていったつもりだったのに、向こうも寄ってきてくださったというか」



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