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VOICE magabon interview

No.249 窪塚洋介(俳優・DJ)

歩き慣れてきて、歩き方も分かっているけど、
一歩踏み出す時の感覚や理由を忘れないようにしたい

全米を震撼させた爆弾魔“ユナボマー”にインスパイアされた映画「モンスターズクラブ」で、瑛太扮する主人公・垣内良一の兄・ユキを演じた窪塚洋介。以前から出演を熱望していた豊田利晃監督のチームで、すでにこの世には存在しないはずのユキの幻影に、確かな息吹を吹き込んだ。
俗世を捨て、一人山で狩りなどをして生活している良一は、今の日本社会のシステムを崩壊させるために、あらゆる機関や企業に爆弾を送りつけていく。良一の自殺した兄であるユキは、ある日良一の前に現れ、さまざまな思いを語りかける。
山形県最上町の雪山で過酷なロケを敢行した本作では、瑛太、窪塚洋介の他、草刈麻有、松田美由紀、國村隼という多彩な俳優陣の個性がぶつかり合い、今の日本に対して強烈なメッセージを訴える。
そこで窪塚に単独インタビューを敢行。俳優業のほか、卍LINEという名でDJ活動、2012年3月には自伝&語録集「放尿」(サンクチュアリ出版)を上梓するなど、多彩な才能を発揮する彼。初共演の瑛太との共演シーンのエピソードや、念願の豊田組の撮影秘話、今後の活動について語ってもらった。

窪塚洋介

――まず、本作のオファーはどのような形でありましたか?
「最初に監督から『こういう映画って興味ある?』って聞かれたんです。ユナボマーにオマージュを捧げるような、世の中のアンチテーゼになる映画を撮りたいってことでした。その後、台本と一緒に、共演のピュ~ぴるさんが雪の中でリンゴをかじってる映像が一緒に届いたんです。それを見たとき、ただならぬものができそうだなと思いました。3.11の前だったけど、自分が世の中に対しての怒りや矛先は正直、今も変わっていないし、何かアプローチできるものになればいいなと思いました」

――豊田監督からユキ役について何かリクエストは入りましたか?
「『そのままでやれるだろうからやって』と言われました。ただ、俺の考え方としては、ユキよりも良一の方が近いんです。ユキは原理主義者というか過激派なので、ワン・オア・ナッシングだから。俺はもう少し色んなことに対して余白を持っていたいと思っているから、ユキよりはもっと柔らかい。でも、以前はユキのような考えもしていたかなと。たとえばドラマは絶対やらないって決めていた時とか、9階から落ちる前の自分ってそういう感じだったと思います」

――良一と対峙するシーンの演技合戦が見ものでした。
「あれは、瑛太の父ちゃんが亡くなった日に撮影をしたんです。瑛太がリハーサルから泣いていて、『こいつなんでこんな泣きを入れてくるんだろう』って思っていました。すげえ役者だな、負けられないなとも思って撮影をしたんですが、待ち時間に初めてその話を聞いて。それで涙ぐんでいたのかって納得しました。豊田監督は聞いていたみたいですが、俺たちは知らなくて。でも瑛太は、座長として凛としながら現場に臨んでいて、その姿を見てすごく尊敬できたし、愛おしいというか、すごいなって思いました。ユキが良一に対して、最後に『お前のことをどうでもいいなんて誰も思ってねえ』っていう台詞を言うんですが、あれは本心で言えました。そう言わせてくれたのは瑛太だし、あいつの取り組み方には心を打たれました」

――印象に残っている台詞を教えてください。
「『お前はまだ世の中を愛している。それじゃだめだ』です。ユキは良一よりも世の中を愛していたから、死ぬしかなかった。だってユキはワン・オア・ナッシング、愛し抜くか死ぬか、世界を殺すか自分を殺すかだったから。それで自分を殺してしまったけど、ユキはそれよりもっと世界を愛していたってことを自分自身で認めていたんじゃないかと。あのセリフがどう受け止められるかなって思いましたが、どっちに転んだとしても、観た人の勝手だからいいのかなって」



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