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VOICE magabon interview

No.272 中山美穂(女優)&向井理(俳優)

「たいていのことは、大丈夫」っていうセリフが好き。実感こもっちゃいました(笑)(中山)
常に“もっといい靴を履いて歩きたい”、もっと成長していかなければいけないと(向井)

パリを舞台に、1足の“靴”が導いた男女の出会いを描くラブストーリー「新しい靴を買わなくちゃ」。偶然の出会いから、心の隙間を埋めてくれる理想の相手が見つかったら…。そんな夢を叶えてくれるような3日間を映し出す、とびきりロマンチックな物語だ。
ヒロインのアオイを演じるのは、自身も2003年にパリに移住し、映画「サヨナライツカ」(10)で本格的に女優業を再開した中山美穂。アオイと恋に落ちるフォトグラファーのセン役には、主演作が相次ぐ向井理が抜擢された。待望の初共演となった二人が、抱えた心の痛み、そしてお互いを求め合う姿までを名演し、優しく鮮やかな旋律を奏でる。
監督・脚本は、ドラマ「愛していると言ってくれ」「ロングバケーション」など、“恋愛の神様”とも評される北川悦吏子。プロデューサー、撮影監督を岩井俊二が担う。心に突き刺さるセリフの数々と、パリの柔らかな光をとらえた映像美にも注目だ。
そこで、主演の中山美穂と向井理にインタビューを敢行! パリの印象や、自らの“新しい靴”への思いまでを聞いた。

中山美穂&向井理

――まず、お互いの印象から教えてください。
中山美穂(以下N)「私は、事前にあまり向井さんの情報を入れないようにしていたんです。撮影初日は、アオイとセンの出会いのシーンからスタートしたので、そのままセン君が目の前に現れたような気がしました」
向井理(以下M)「最初に脚本をいただいた時は、もう企画が結構固まっていて、北川さんも岩井さんも美穂さんも、参加することが前々から決まっていたんですね。だから、出来上がったチームに入っていくような気がして、大丈夫かなって思っていたんです。でも、美穂さんがおっしゃったように、『はじめまして』と挨拶をして、そのまま出会いのシーンの撮影に入ったので、関係性が自然でしたね」
N「あれって、大事でしたよね。新鮮な空気のままスタートが切れたので、あとはそのままの流れで二人の空気感を作れたんじゃないかな。たぶん、スケジュール的なことであのシーンからの撮影になったと思うんですが、そういうラッキーな偶然が、今回はたくさんありました」

――では、“恋愛の神様”と評される北川悦吏子さんが綴る物語に関しては、どんな印象を持ちましたか?
N「おとぎ話のような要素もあって、可愛い話だなと思いました。あまり日本ではこういう愛の物語はないんじゃないかなと思うんです。やっぱり、ある程度年齢を重ねていくと、誰でも一つや二つ、悲しい出来事があると思うんですけど、そういう背景を描きながらも、決して重くはしたくないなと。笑顔でアオイの気持ちを表現できればいいなと思いました」
M「撮影期間が2週間であるのに対して、3日間という時間を描いた話なので、そんなに現実とのギャップを埋める必要がないなと。登場人物も少ないので、それぞれの感情が見えやすいと思います。脚本を読んだ時よりも、実際にセリフを口にしたり、映像で見た方が、『面白いなこのセリフ』と思うものも多かった。濃厚なセリフが多いですが、本当に可愛らしいストーリーだと思います」

――中山さんは北川さんと親交があり、本作のアイディアもすでに6年前に持ち上がっていたそうですね。北川作品の魅力を教えてください。
N「やっぱり脚本が一番、彼女らしい世界を表現していて魅力的。私は彼女の書くセリフを話すのがとても好きなんです。今回も、どのセリフも好きなんですが、個人的には、アオイが言う『たいていのことは、大丈夫』っていうセリフが好き。あれ、何かすごい好きなんですよね。実感こもっちゃいました(笑)。私も撮影現場では、たいていのことは大丈夫ですよ!」
M「北川さん自身、ちょっと不思議というか可愛らしい人なんです。想像力や空想が豊かでありながら、恋愛に関しての言葉の端々にとてもリアリティがあるんですよね。核心を突いている部分が多いので、みんながリアリティを持って演じられるのかなと。脚本って、作品にとって軸となるもので、ある意味、脚本は神様なんです。今回で言えば、僕は一つのセリフというよりも、アオイさんとお酒を飲みながら、ピアノを弾くシーンが印象に残っています。そこでセンは、自分の色々なことを吐き出していく。たぶんセンは、そういうことをしない人だと思っていたので、なぜアオイさんにだけは心を開けたのか。それはなぜだろうと考えたりしていくと、彼の悩みや壁というものが、ちょっとわかる気がして。共感できるセリフがたくさんあって、そのシーンの一連のセリフが好きでした」

――パリでオールロケをした本作ですが、セーヌ河の辺での出会いに始まり、パリの美しい街並みが鮮やかに切り取られています。中山さんは、実生活でもパリに住んでいらっしゃいますが、パリでの撮影には特別な思いがあったでしょうか。
N「撮影に入る前は、特別な思いになると思ったんですよね。でも実際に現場に入ってみると、ずっとやってきた現場という感覚に戻ってしまって。それはどこの国に行っても同じなんだなと思いました。パリはとにかく街並みが綺麗ですね。私はパリの橋が好きです。全部、橋の表情が違うんですよ。歩くのが好きで、ジグザグと橋を渡っていると、パリに来たなという気がします」
M「僕は今回が初めてのパリだったんです。いわゆるパリと言うと“おしゃれ”という感覚があると思うんですが、確かにパリというロケーションは武器であったとしても、この映画はパリに媚びていないというか、浮ついていない気がして。二人の出会いの場所がたまたまパリだったというように。そこは格好いいと思いましたね。撮影は天候にとても恵まれて、1日も曇らなかったんですよ。みんな運がいいし、奇跡的な2週間でした」

――限られたスケジュールの中、撮影はハードでしたか?
N「戦争でしたよね(笑)。次から次へと撮っていかなければいけない撮影だったので、どちらかと言うと出たとこ勝負なところもあったり(笑)」
M「セリフにも日々変更が入るし、変更が入っても、テストがなくてすぐに本番とか(笑)。日々、過酷な現場を乗り越えていく、戦友みたいな感じもありましたね(笑)」
N「でも、その新鮮さが実はすごく大事で、1シーンをやるごとに、アオイとセンのようにお互いを探り合って、芝居を作っていけたような気がします。撮影の2日目だったかな、バーのシーンがあって。お店のドアを開けたら、もう本番だったんです(笑)。お互い顔を見合わせて、笑っちゃって。その時に、『あ、これはどんな環境でもやっていけるな』って思ったんです」



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