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VOICE magabon interview

No.279 貫地谷しほり(女優)&竹中直人(俳優)

カットがかかる度に号泣。生まれて初めてなくらい悩みました(貫地谷)
舞台劇のような映画。演者、スタッフ、それぞれの緊張感がいい効果を生みました(竹中)

2012年に解散した劇団「東京セレソンデラックス」の伝説の舞台「くちづけ」が、貫地谷しほり主演で映画化。5月25日より公開された。貫地谷演じる知的障害を抱えるマコと、竹中直人演じる漫画家の父、愛情いっぽんの深い親子愛を描く、実際に起きた事件が元となっている作品だ。
男手ひとつでマコを育ててきたいっぽん。知的障害者が集団で暮らすグループホームに住み込みで働くことになり、マコとともに穏やかに暮らしていた。そんなとき、いっぽんに病気がみつかり…。
原作・脚本は、舞台の脚本も担当した宅間孝行。メガホンを取るのは、「TRICK」シリーズなど、多岐にわたり活躍する堤 幸彦監督。1セットの中で話が展開する、これまでにない舞台のような映画となった。そこで、貫地谷と竹中にインタビューを敢行!作品への思いや撮影の裏話に迫る。

貫地谷しほり&竹中直人

――脚本を読んだときの感想はいかがでしたか。
貫地谷しほり(以下K)「私は整理しきれなかったです。気が動転しました。竹中さんと私とで『くちづけ』ってタイトルですから、最初コメディだと思って読み始めたんです。そうしたらだいぶ違ったんで(笑)。私は、どうしてもいっぽん目線で脚本を読んでしまったので、結末はとてもやるせなかったです。でも、マコといっぽんは、本当にラブラブな親子なんだなって思いました。ずっとマコを心配している、いっぽんの愛情を感じました」
竹中直人(以下T)「基本的に台本はさらっとしか読まないんです。自分の中にビジョンを作ってしまうのが嫌なんです。話の流れを知って演じたくない。日常生活では明日のこともわからないのに、台本を読んで、この結末に行き着く話だってわかっちゃうのが嫌なんです。今回は順撮りだったので、流れを知らなくても大丈夫でしたね。だからラストシーンは驚きました。現場に入った時は、セットのすごさにも驚きました。セットで撮影するのはぜいたくですね。すごく楽しい撮影でした」

――舞台版をご覧になって、撮影に挑まれたのですか?
K「監督から、見てくださいってDVDを渡されたんです。でも、見たら真似しちゃうから見たくなかったんです。だから…これ、言ってなかったんですけど、すごい早送りで見ました(笑)。撮影が終わってからちゃんと見ました!」

――舞台劇のような映画ということで、演じる上で気を付けたことは?
T「舞台と思わず、あくまで映画と思って演じていました。やはりカメラがありますから、舞台とは圧倒的に違います」
K「舞台で見えるリアルと、映画で見えるリアルは違いますから。舞台だと、とにかく伝わらないと意味がない、聞こえないと意味がないから、自然と声も大きくなります。今回はマイクで音も拾ってくれますから、ナチュラルにやりたかったというか…“芝居”をしたくなかったんで、そこは意識しました」

――撮影現場はいかがでしたか?
K「竹中さんとは親子役が『僕らのワンダフルデイズ』(09年)に続いて2度目なんです。大先輩なのにみんなとフラットに会話してくれて。それに甘えてカメラが回っていないところでも『いっぽん』と呼ばせてもらったり。撮影は20ページを一気に撮るんです。だからすごく大変でした。感情の振れ幅も大きくて、すごく辛かったです。楽しいシーンもあったし、朝はラジオ体操から始まって、みんなで流しそうめんをしたりして、楽しいこともあったんですけど…とにかく早く帰りたかった。すごく特殊な空間で過ごした、濃密な2週間でしたね」
T「しほりちゃんとは親子役が2度目だし、楽しくできそうだなと思いました。しほりちゃんの僕を呼ぶ声に動かされてゆきました。あまり役を深く分析するタイプではないので、その場の空気だけに集中していました。とにかく、『貫地谷しほりちゃんとまた親子をやる、監督は堤さん』という意識の中で生きてきた、2週間の撮影でした。今回はワンセットで撮るということで、映画では、なかなかないことでした。舞台劇のようでも映画になるわけですから、俳優、スタッフ、それぞれのポジションでみんながとてもいい感じの緊張感がありました」

――堤監督の印象は?演技に対して何かアドバイスはありましたか?
K「私は『金田一少年の事件簿』など、堤さんのドラマで育ってきたので、ずっと見てきた方とご一緒するのは嬉しかったです。18歳くらいのころ、初めて堤さんのドラマに呼んでいただいたんですけど、当時の私の宣材写真を堤さんが気にいってくださってたそうで、ずっとご自分のデスクに挟んでいたんですって(笑)。そうすれば誰かが作品に呼ぶかなと思って。でも誰も呼んでくれなかったから、ご自分で呼んでくださったそうです(笑)。だから、当時のあの宣材写真がなければ、この作品もできなかったかもしれないって思っています。ありがたい話です、本当に。
マコ役については何も指導はありませんでした。だから不安で。撮影は進んでいくんですけど、本当にこれで大丈夫なのかなって。とにかくやるしかなかった。ストンと納得できるところはなかったんですけど、始まっちゃったら、これでいくしかない!という覚悟ができました」
T「堤監督は、キャスティングしたら役者にゆだねるタイプかもしれませんね。なんとなく暗黙の了解みたいなものがあるんです。堤組は何度も参加させていただいていますからね。僕は監督の言うことは聞くタイプなんですが、聞かないタイプだって思われがちなのが切ないです(笑)。堤監督の作品には、なにか独特な空気があるんですよね。堤さんは現場には出てこなくて、ずっとテントの中のモニターの前にいる。そういう監督も少ないから、最初に参加したときは戸惑いました。どんな役でも僕を呼んでくださるのは、とてもありがたいです」



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